2013年3月31日日曜日

ダブリン旅行記 Part 2

さてダブリン二日目は、天気予報に反して朝からまばらに雪が舞っていました。
外に出てみると予想外に空気が冷たかったので、即座に博物館、美術館を中心に巡る決意をしました。

朝一番に向かったのはアイルランド随一の名門校で最古の大学であるトリニティカレッジ・ダブリンで、そこに所蔵されているケルト文化最高傑作といわれる「ケルズの書」とそれを所蔵するオールド・ライブラリーを見に行きました。

その後はとにかく国立美術館、博物館と名のつくものはほとんど一通り見て回りました。

個人的に気づいたのが、アイルランド自身は豊かな文化と遺産を多く持つのに、国家の財政状況がイギリスほど安定していないため、せっかくの絵画、装飾品などの文化財がイギリスのナショナルギャラリーや大英博物館ほどの保存状態、展示状態ではないということです。

印象深かったのが、その日最後に訪れたジョージアンハウス博物館(ジョージア朝のダブリンの家をそのまま展示している博物館)で、学芸員の方がおっしゃっていたのが「ダブリンの全盛期は独立してからではない。ダブリンが最も栄えたのはイギリス連合の一部だった時だ。」という言葉でした。

たぶんこれはアイルランド人にとっても難しい問題でしょう。実際博物館や、美術館では英語よりもアイルランド語が大きく表記されていることが多かったですが、実際の人口のほとんどは英語しかしゃべれないそうです。

話が少し重くなりましたが、博物館、美術館ともに展示はすばらしく、外は寒かったものの、ダブリンの街並みを楽しみながら一日のんびりと過ごせました。

朝から雪が降っていて空はどんよりしていました

ダブリンの中心はロンドンと同じように河が流れています

トリニティカレッジの正門は重厚でした

トリニティカレッジのシンボルであるベルタワー

ケルズの書の見本

観光客に分かりやすいよう大きなポスターがあります

オールドライブラリー

アイルランド銀行

考古学博物館にはケルトの神々に捧げられた生け贄のミイラもありました。
彼らの文化では、生け贄になることは名誉なことで時には退位した部族の王などが神に捧げられることもあったそうです

昼食はミュージアムカフェで自家製ビーフラザーニャとアイリッシュサラダを頂きました

ケルト文化は思っていたよりも絢爛豪華で、金や銀の装飾品も数多くありました。

自然史博物館の入り口

向こうに見えるのはロイヤルアイリッシュアカデミーです

街の中心にそびえ立つ街のシンボルSpire

独立戦争の舞台になったGPO(中央郵便局)

夕食は別のパブでギネスパイを頂きました



2013年3月30日土曜日

ダブリン旅行記 Part 1

去年のイースターにパリに行ったことを思い出すと、時が経つのは本当に早いと思いますが、今年のイースターは前々からいつかは行ってみたいと思っていたアイルランドの首都、ダブリンを3泊4日の日程で旅してきました。

僕の場合、目的地に行くまでの旅路も楽しみたいと思う方で、今回はウェールズの北端に位置するホーリーヘッドから出航するフェリーでダブリンに向かいました。

一日目は思ったより大変で、まずアイルランドの人の英語の訛がものすごくキツくて、入国審査官の言っていることも一度では聞き取れませんでした。(笑)

そのあとバスに乗り換え、あたりも暗くなってきていたので、急いでホテルを目指しましたが...バス停がガイドブックに載っている場所とは全然別のところにあって、初日から結構歩いてようやくたどり着きました。

ホテルに到着後はしばらく夜の街を散策してThe Celtという僕の興味を引く名前のパブがあったので、そこで夕食をとりました。

ギネスを片手にアイリッシュシチューを楽しみ、そうして僕の初めてのダブリンの夜は更けていったのでした...
ホーリーヘッドのフェリー乗り場

フェリーUlysses号の中

思った以上にお客さんがいました

有名なカスタムハウス

Ulysses号

車でフェリーに乗ることも出来ます

ホテルにチェックイン後はもちろんギネスを一杯

いろんな種類のビールがあります

ここのパブはすごくおしゃれで店内もアンティーク調でした

初日の夕食は伝統料理アイリッシュシチュー

パブの名前はThe Celtでした!

2013年3月29日金曜日

イギリス大学出願の結果まとめ


無事アイルランドから帰ってきました。
昨日報告した通りダブリン滞在中に、僕が出願していた大学の全ての結果がそろい、とりあえず一段落つきました。

イギリスでは大学の99%が国立大学で、5校まで出願できるのですが、MAXの出願枠を使って、うち国立大4校から合格内定を頂きました。

ケンブリッジだけ不合格だったので少し残念ですが、今考えると現代社会の政治、経済界に強い影響を持つのはむしろLSEですし、自分の勉強したいことに強みを持っているのもどちらかというと、後者なので満足しています。

一応どの大学、どの学部に出願したかという情報を画像でアップしておきます。

Conditional=条件付き合格
Unsuccessful=不合格
です。

2013年3月22日金曜日

Sociology Conference

火曜日ににLSEの客員研究員でA-levelの社会学のカリキュラム作りにも携わっているDr. Steve Taylorが僕のカレッジに講演しにきてくださいました 。

この講演はDr. Taylorが一方的に話すものではなく、対話型(イメージで言うとマイケル・サンデルの白熱教室みたいな感じです。)で、時折、生徒の意見や質問なども交えながら進行していきました。

もちろん主題は社会学と犯罪の原因及びに背景分析なので、それに沿って、社会学的な犯罪論、犯罪の新たな形(グリーンクライムやホワイトカラークライム)、そしてそれらを証拠づけるためのリサーチメソッドについて講義を中心に、午前と午後で丸一日使って熱い議論が交わされました。

僕が特に関心を持ったのはグリーンクライム(環境に対する犯罪)で、Dr. Steveによると、まだまだ発展途上な研究領域ということでした。これらの犯罪は、多くの場合大企業、強いては国家によっておかされる犯罪であり、有名な例で言うとインドのボパール事件、メキシコ湾のBPの石油漏洩問題、そして我らが日本の東電による福島原発事故などがあります。

ここで気をつけないといけないのは、これらが一応「犯罪」と分類されていても、法律で裁くことが出来るとは限らないということです。福島原発事故を例にとってみても、明らかに東電の過失があるのにも関わらず、経営陣は刑事的告訴されていません。(民事裁判は進んでいますが、それでも現実的に責任を追及するのは難しいでしょう。)

それにホワイトカラークライム(エリートや社会的地位の高い人がおかす犯罪)についても法律の境界線は非常に曖昧です。リーマンショックのとき一番被害を食らったのは誰か。それはアメリカでも、他の国でも比較的社会的に弱い立場にある人々でした。実際に責任のある金融エリートたちは、公的資金をたっぷりつぎ込んでもらい、何の刑事的責任を取ることもなく、再び高収入を手にしています。(彼らのやったことは詐欺と同等ですが。)

つまりここでのポイントは、法律そのものが有史以来、万人による万人のためのものではなく、一部のパワーエリートたちによって作られた、彼らに都合のいい紙切れにすぎないということなのです。

さらにDr. Taylorは話を発展させ、僕たち生徒が「犯罪」と聞いて何を思い浮かべるか、「犯罪者」と聞いて誰を思い浮かべるかを問いました。そこで僕たちは言われてみれば、僕たちがイメージする犯罪、犯罪者は圧倒的に社会的に弱い立場の人々が加害者にも、被害者にもなりやすいと気がつきました。(誰が泥棒しますか?誰が強盗しますか?)

実際には投資会社は、食物の価格を投機によって高騰させ、何百万もの命を間接的に奪い、ウォールストリートの住人は相変わらず、お金を持った老人たちをだまし続けているのにも関わらず、です。

こうした問題は本当に深刻で、意識していなければ気づくことすら出来ません。そして幸いなことに、僕はそうした社会の重大な問題点に対して、社会学的見地からアプローチする機会を頂きました。

やはりイギリスのすごいところは、このような複雑かつ深刻な問題に対しても、18歳やそこらの高校生たちに、疑問を問いかけ、自分の頭で考えさせることです。

そしてそれこそが、歴史上全ての「日の沈まない帝国」と呼ばれた国々が現在没落しているのにも関わらず、イギリスが国際的な存在感を維持できる大きな理由なのです。

日本はかつて「日の出ずる国」と呼ばれ、それが今の国名の由来にもなっています。僕は本当に心から、自分の母国が「日の沈む国」にならないことを祈っています。



2013年3月18日月曜日

6 Nations Rugby Championship!


昨晩はウェールズは大盛り上がりでした。ウェールズは特にラグビーが強いんですけど、伝統的な大会、6 Nations Rugby(連合王国+フランス、イタリア)でイングランドを下してウェールズが優勝したんです!

普段はあまり意識しないですけど、やはりおなじイギリスでも地域(彼らは別々の国だと思ってます)ごとのアイデンティティはすごく強いと感じました。

実際僕もウェールズのラグビーチーム(Red Dragons)のファンで、テレビを見ながら国歌を一緒に歌っていました(笑)

昨日の試合はしかもウェールズに取ってものすごく大切な試合でした。というのも、ウェールズは他の地域と違い、比較的に早い時期にイングランドに併合されてしまったので、あらゆる面でウェールズの国としての力は弱められてきました。

したがって、ウェールズ対イングランド戦は、ある意味武力で押さえつけられた自分たちの国としての誇りを取り戻す、一番大切な試合なんです。

今回の対戦はウェールズの圧勝でした。最終スコアは30-3 で、イングランドにほぼ攻撃のチャンスを与えず、前半後半ともに主導権を握っていました。

さらに今回の勝利は1978年以来およそ30年ぶりの2連覇という偉業で、さらにさらにイングランドのグランドスラムを阻止することに成功しました。

僕自身はラグビーはプレーしませんが、チームのモットーである"Dragon Heart"(竜の心)が欲しいです!

2013年3月11日月曜日

A2最初の試験結果が出ました!

A-level2年目最初の試験の結果が先週の木曜に発表されました。

今回の試験は1月に受けてたものだったので、モチベーションや自信がどん底の時でしたが、それを覆す、すばらしい結果でした。

受けた科目はPoliticsから3ユニット、SociologyとPure mathematicsからそれぞれ1ユニットずつだったのですが、さすがに2年目とあって勉強量は実感としては大体1.5倍でした。

そして肝心の結果はPoliticsがAAB、SociologyがA、Pure MathematicsがAでしたので、今までのなかで最高の出来となりました。

本当に1月の試験は、僕の今後の進退に大きな影響を及ぼす重要な意味があったので、今回きっちり点を取れたのは大きな前進だと思います。

LSEからのオファーはAAAなので、ただひたすらその条件を達成するべく、今後もこのモチベーションを維持して勉強に励み研鑽していこうとおもいます。

2013年3月2日土曜日

St David's Day

今日はウェールズの国の記念日 "St. David's Day"でした。
St Davidはウェールズの守護聖人で、18世紀に"national day of cerebration"として制定されて以来、ウェールズ人にとって自分たちのアイデンティティーを守るための最も大切な記念日として扱われてきました。

この式典は、ウェールズ議会とウェールズ国民投票によって一度は、国の祝日に制定されたものの、イングランドの中央政府によって否決され、認められませんでした。

しかしながらウェールズの人々は、たとえ平日であろうと、この記念日を大切にし、ウェールズの公共機関(学校、病院、市役所など)では時間を割いてみんなで盛大にお祝いします。

今回は平日だったので、僕の通っているYale collegeでも式典があり、留学生はウェールズの歴史について聞いたり、国旗をもらったりしました。

St David's Dayにはまずウェールズの国歌をウェールズ語で歌い、伝統的なネギとラムのスープを飲んでお祝いします。

大人たちは深夜までパブでどんちゃん騒ぎし、子供たちは民族衣装に着替えてダンスをしたり、合唱したりします。

いくら連合王国と言ってもやはりウェールズ人には自分たちの誇りと民族意識があり、外国人が勝手に「イギリス」でひとくくりにするのは良くないことだとあらためて痛感させられました

ウェールズの誇りと言えば"Y Ddraig Goch"(ア・ドライグ・ゴッホ)が有名です。これはウェールズの国旗に描かれている赤い竜のことで、ウェールズ人に取って特別な意味を持ちます。

通常キリスト教では竜=ドラゴンは邪悪な存在として扱われていますが、この赤竜は優いつの例外なのです。その理由はウェールズのケルト文化とアーサー王の伝説に由来します。

ケルト神話では赤竜が災厄を招く黒竜を打ち破って、地に平和をもたらした伝説があり、またあの有名なマーリンの予言において赤竜はアーサー・ペンゴラゴンのことでした。


そうした理由があり、チューダー家の王は赤竜を例外的に王のシンボルとして使うことを認め、キリスト教世界で唯一神聖視されるドラゴンとなったのです。

しかし残念ながら、この赤いドラゴンもユニオン・ジャックには描かれておらず、ウェールズ人にとっては自らのアイデンティティーを強く喚起させるものなのです。


去年はこの式典に参加できなかったので、本当に参加できてよかったし、ウェールズへの愛着がますますわいたSt. David's dayでした。

ウェールズ国歌-Land of my fathers